The Asphalt Jungle
1950/アメリカ/112分
出演:サム・ジャフェ スターリング・ヘイドン ルイス・カルハーン マリリン・モンロー
監督:ジョン・ヒューストン
原作:W・R・バーネット
脚本:ベン・マドー、ジョン・ヒューストン
撮影:ハロルド・ロッソン
音楽:ミクロス・ローザ
偏差値:62.7 レビューを書く
人間を描くフィルム・ノワールの傑作 [90点]
7 年の刑期を終えて出所した希代の知能犯ドック(サム・ジャッフェ)は、早々に仲間を集めて銀行を襲撃。犯行は完璧に見えたが予定外に警報が鳴ったことから次々に計画に狂いが生じていく。ジョン・ヒューストンによるフィルム・ノワールの大傑作。
いい映画は開巻の一瞬からひきつけるものがありますが、この作品もまさにそうですね。画面いっぱいに写る石畳をゆっくり走ってくるパトカーとそれをやり過ごすディクス(スターリング・ヘイドン)の映像がぞくぞくするほどかっこいい。この場面から、ディクスがガスの経営するカフェで犯行に使った拳銃を預けるところまで、フィルム・ノワールのにおいがぷんぷんとする素晴らしいオープニングです。
登場人物の描写がみんな実に生々しくていいなぁ。子煩悩な金庫破りルイ(アンソニー・カルーソ)や、破産した父親の牧場を買い戻そうと競馬と強盗で金をつくるディクス。クールな知能犯でありながら若い女に目がないドック、情婦(マリリン・モンロー)に入れ込んで泥沼にはまるエメリッヒ(ルイス・カルハーン)。そういう主役クラスはもちろんですが、ディクスの女友達ドール(ジーン・ヘイゲン)が泣き笑いしながらつけまつげをはがすシーンなども抜群に人間臭い。それぞれの登場人物を裏側まで丁寧に描きこんでいるため、ジョン・ヒューストン流のアンハッピー・エンディングが効いてくるんですね。一人また一人と倒れていく様子は思わず深くため息をついてしまうようなと無常観がじーんと染み込んできました。個人的にフィルム・ノワールのベスト3に入ります。
2008/05/06 09:26