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Unser täglich Brot
2005/ドイツ/エスパース・サロウ/92分
監督:ニコラウス・ゲイハルター
http://www.espace-sarou.co.jp/inochi/

偏差値:55.3 レビューを書く

リアルドキュメント [80点]

ここ最近のドキュメンタリーでは最も興味をひくものだと思います。
ただ食べ物の生産現場をじーっとカメラが撮り続けている、ただそれだけの映画。でもこれがリアル。
何もナレーションもなく、ただ映像だけを見ること。これが究極にリアルなドキュメンタリーってわけです。

鶏、豚、牛、魚、野菜、果物、穀物、塩、どれも我々の食生活には欠かせないものですが、この生産過程が捉えられています。ただし、何も解説がないので、労働者たちがいったいそのとき何をやってるのかよくわかりません。そこら辺は想像で見るしかありません。でも見たことのない光景が多く、どれも目を引くものばかりです。

毎日仕事をこなしている労働者の姿があまりにもリアル。流れてくる豚の足をせっせと切っていくお姉さん。

僕が最も衝撃を受けたのは鶏肉の生産ですね。
何万匹というヒヨコちゃんをテニスボールのごとく扱って、生きたままベルトコンベアーを流れていく映像にあっけにとられました。何万という鶏をバキュームみたいなもので吸い取って、箱にポンポン詰めていき、せっせと首を切って殺していきます。

映像のセンスがいいですね。とても映像が綺麗でした。牛の帝王切開とか、結構すごいシーンもありますけど、個人的にトラウマになりそうなのは魚の目。機械で次から次へと腹を真っ二つに切っていくわけですが、この様を固定カメラで撮ってて、左から右にウィーン、カシャン、ウィーン、カシャンと繰り返し繰り返し流れていくわけですが、どの魚も全く同じ表情をしてるんですよ。彼ら一匹一匹に何もアイデンティティーがないんですよね。彼らの生涯って、なんだったんだろうって、そんなことを考えつつ、人間に生まれてきてよかったなあなんて思いました。

種付けから、赤ちゃんを産んで育てていき、またそれを食べていくというサイクル。よく食べ物が切れないものだとそんな心配もしてしまいましたが、労働者たちが、休憩時間にパンを食べてる映像を見てると、給料をもらって食べていくことって大変なことだよなと、そんなことを真面目に考えました。

2009/04/22 04:33 (2009/04/25 07:17修正)

シネマガ管理人

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