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ウェディング・ベルを鳴らせ!

Promets Moi
2007/セルビア=フランス/デスペラード=日活/127分
出演:ウロス・ミロヴァノヴィッチ マリア・ペトロニヴィッチ アレクサンダル・ベルチェク ミキ・マノイロヴィッチ リリアーナ・ブラゴイェヴィッチ ストリボール・クストリッツァ 
監督:エミール・クストリッツァ
http://www.weddingbell.jp

偏差値:59.0 レビューを書く 読者レビュー(1)

だれもがハッピーになる究極の婚活・サクセス・ストーリー!
『ウェディング・ベルを鳴らせ!』

セルビアのとある農村。おじいちゃんと2人で暮らすツァーネは、のんびり気ままな田舎生活を送っていた。
しかしある日、自らの余命が残り少ないと悟ったおじいちゃんから3つの約束を言い渡され、町へ向かうことに—。その約束とは、(1)牛のツヴェトカを売り、そのお金で聖ニコラスのイコンを買うこと (2)好きなお土産を買うこと、そして、(3)花嫁を連れて帰ること。はじめての都会に驚くのも束の間、ツァーネはすぐさま、可憐な美女、ヤスナに一目ぼれ!
「彼女こそ、僕のお嫁さんだ!」と、あの手この手で追いかけるが、彼の前に強力な壁が立ちはだかる。それは、セルビア初の貿易センタービルの建設を目論む新興マフィア!そしてヤスナの美貌に目をつけたマフィアのボスの陰謀に、ふたりは巻き込まれて行く。一方、村で帰りを待つ祖父も、唯一の隣人ボサから熱烈に結婚を迫られ…
はたしてツァーネはヤスナを悪党の毒牙から守り、村に連れて帰れるのか?
祖父と孫のダブル・ウェディングは実現するのか!?


世界で最も愛される巨匠エミール・クストリッツァ
待望の新作は原点回帰のラブ・コメディ!

監督は、不条理な社会をコミカルかつ感動的に描く手腕が世界で最も独創的と謳われ、『パパは、出張中!』(85)『アンダーグラウンド』(95)でのカンヌ映画祭パルムドール2冠をはじめ、世界三大映画祭完全制覇を誇る巨匠、エミール・クストリッツァ。
本作はシンプルな恋のおとぎばなしを、クストリッツァ色豊かな登場人物や陽気なジプシー音楽で彩り、めでたしめでたしの大団円に向かってノンストップで突っ走るユーモアあふれる痛快ラブ・コメディー。代表作の『黒猫・白猫』(98)を想起させる快作となった。

『パパは、出張中!』(85)、『アンダーグラウンド』(95)などの作品を世に送り出し、二度のカンヌ国際映画祭パルムドールをはじめとする映画賞を席巻、無限大のイマジネーションと揺るぎない反骨精神で世界中の映画ファンを熱狂させてきたエミール・クストリッツァ。祖国・旧ユーゴスラビアの歴史を題材に、生きることの厳しさと素晴らしさを描いてきた鬼才が、普遍的なユーモアにあふれた現代の寓話を作り上げた。
監督自身「誰にでもわかるシンプルな物語を作りたかった」と言うように、ストーリーはこれまでになく単純明快。祖父との約束を果たすために都会に行った少年が、様々な試練に立ち向かいながら恋に落ち、めでたしめでたしの大団円に向かってノンストップで突っ走る! もっとも、一筋縄ではいかないのがクストリッツァ流。今回も、変態マフィアに空飛ぶサーカス男、懲りない役人、石頭のクラッシャー兄弟といった奇天烈な面々が少年と祖父それぞれの恋路を引っかき回し、物語は壮絶なドンパチあり、アクロバティックな脱出劇ありのとんでもない方向へ!? 
クストリッツァが贈る『黒猫・白猫』(98)以来のドタバタ喜劇にして、一途でピュアなラブ・ストーリー『ウェディング・ベルを鳴らせ!』。観る者すべての心をポジティブなエネルギーで満たしてくれる、陽気な恋のおとぎばなしが誕生した。

緑のユートピアから狂躁の都会へ
ドタバタ珍道中を盛り上げるバルカン・サウンド

主人公が暮らすのは、21世紀的な物質的豊かさからはかけ離れたセルビアの山村。前作『ライフ・イズ・ミラクル』(04)のロケ地が気に入ったクストリッツァは、なんと土地を買い取って自身の村を設立した。その中で実感した「人間らしい生活の美しさ」が、この映画のテーマのひとつとなっている。牧歌的な田舎ライフと、地上げ、売春など様々なかたちの暴力が横行する都会の暮らしを対比することで、グローバリゼーションによって変わりゆく世界を皮肉たっぷりに映し出す。
そして、そんな田舎と都会の人間模様を盛り立てるのはもちろん音楽! 手掛けたのは、監督の息子であり、ヨーロッパで熱狂的なファンを持つ「エミール・クストリッツァ&ノー・スモーキング・オーケストラ」のメンバーでもあるストリボル・クストリッツァ。一度聴いたら病み付きになるバルカン生まれの“ウンザ・ウンザ”サウンドが、初恋のドキドキ感や格闘場面のボルテージを最高潮に押し上げ、登場人物たちを狂躁の渦に巻き込む!

クストリッツァ組に欠かせない超個性派キャスト、
表情豊かな動物たちが大集結!

いつも味わい深い魅力的なキャラクターが満載のクストリッツァ映画、中でも本作は老人も若者もイイ顔揃い!
主人公ツァーネを演じるのは、『それでも生きる子供たちへ』の一編「ブルー・ジプシー」で主人公を演じた16歳のウロシュ・ミロヴァノヴィッチ。田舎育ちのたくましさと、キュートな魅力を抜群の演技センスで体現している。彼が恋に落ちる美女ヤスナには、クストリッツァがセルビアのとある学校で見つけてきた新星マリヤ・ペトロニイェヴィッチ。究極のDIY精神を持った骨太な祖父に、『ライフ・イズ・ミラクル』で郵便配達夫を演じたアレクサンドル・ベルチェック。そして、『パパは、出張中!』『アンダーグラウンド』などでお馴染みの名優ミキ・マノイロヴィッチが、マフィアのボス役でキワキワの怪演を繰り広げる。また、主人公のリビドーを刺激する隣人の女教師ボサ役で、伝説のデビュー作“Do You Remember Dolly Bell?”のヒロインが25年ぶりにクストリッツァ作品に復帰しているのも要注目。その他、プロの役者ではないが見ているだけで面白い老若男女に加え、牛、猫、犬、七面鳥、ニワトリといったクストリッツァ映画名物の動物たちが奇想天外な言動でスクリーンを賑わせている。

2009/4/25 シネマライズほかにて公開。