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大いなる陰謀

Lions For Lambs
2007/アメリカ/FOX/92分
出演:ロバート・レッドフォード メリル・ストリープ トム・クルーズ 
監督:ロバート・レッドフォード

偏差値:56.4 レビューを書く

ライオンの群れを率いる羊 [80点] [参考:1]

※ネタバレを含むレビューです。
邦題はイマイチであるが、原題は今のアメリカの現状を表している。いやアメリカ以外の大半の国がそうなのかも知れない。

映画は3つのストーリーが同時に進行する。

アフガニスタンの高地占領に失敗してアフガン兵に取り囲まれた2名のアメリカ兵(1名はアフリカ系、1名はメキシコからの移民である。)の話。

アメリカ大統領を目指す若手議員(トム・クルーズ)と彼にインタビューするTV局のジャーナリスト(メリル・ストリープ)の話。

成績は優秀であるが授業に出席しないため大学教授(ロバート・レッドフォード)に呼び出された学生の話。

何の繋がりもないように見える3つのストーリーであるが、極秘のアフガン侵攻作戦を考えたのは若手議員であり、アフガン兵に取り囲まれている2名は大学教授の教え子である。

大学教授は将来アメリカのためになることを行うよう学生に促すが具体的にどうすれば良いかについては各人の意志に任せている。

その結果、先の2名が選んだのは軍隊への志願であり、その出身地から軍隊に志願することが唯一アメリカへの貢献と考えざるを得なかった彼らの姿から現在のアメリカの抱える病巣のようなものを感じる。

軍隊にはいたが実戦経験のない若手議員は、表向きは大統領になることは望んでいないと言いながらも、実際は将来の実績作りのために無謀な作戦を軍隊に強いており、ジャーナリストを通じたブロパガンダを暗に強要している。

監督でもあるロバート・レッドフォードがこの作品を通じて訴えたかったものは何か。

愛国心を持つことなのか、戦争の愚かさなのか、羊のような支配階級に動かされているアメリカの悲劇なのか。

3つのストーリーの繋がり方が劇的ではないため逆に稀釈されてしまったような印象を受けるのが残念である。

しかし、愛国心を持つことや国のために何かをすることを声高に訴えることがタブー視されているとしか思えない我が国では、本作のような映画を自由に作ることができるアメリカが羨ましくも思える。

2008/12/10 23:32 (2008/12/12 17:24修正)

kira

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