7つの贈り物
Seven Pounds
2008/アメリカ/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/123分
出演:ウィル・スミス ロザリオ・ドーソン マイケル・イーリー バリー・ペッパー ウディ・ハレルソン
監督:ガブリエレ・ムッチーノ
http://www.sonypictures.jp/movies/sevenpounds/
男は【ある計画】を進めていた。
7人の候補者を選ぶ。
彼らについて調べる。
そして、人生を変える【贈り物】を渡す。
いったい何のために__?
INTRODUCTION
男の名前は、ベン・トーマス。ベンは7人の名前が載ったリストを持っている。彼らは互いに何の関係もない他人同士だ。ベンは彼らに近づき、彼らの人生を調べ始める。そして、ある条件に一致すれば、彼らの人生を永遠に変える贈り物を渡そうとしている。
ベン・トーマスとは何者なのか? 海辺に素敵な家がありながらモーテルに泊まり、外出時にはいつも同じスーツを着ている。妻も子供も恋人もなく、たった一人の弟からは逃げようとしている。彼の【計画】の目的は何なのか? そして、【贈り物】の中身とは__? わかっているのは、ベンは過去のある事件によって、心に傷を抱えて生きていること。彼の計画を実行するためには、その7人でなければならない特別な理由があること。
映画『7つの贈り物』は、そんな謎に満ちたミステリーから始まり、映画史上かつてないテーマに挑戦し、誰も見たことがないエンディングに辿り着く作品なのだ。
衝撃か、感動か__『幸せのちから』の監督と再び組んだ
ウィル・スミスが、渾身の演技で新境地に挑む最新主演作
世界中に物議をかもす覚悟で、本作に全身全霊を注ぎ込んだのは、『幸せのちから』の監督ガブリエレ・ムッチーノと、主演のウィル・スミス。全財産を失くした一人の父親が、幼い息子と共に人生を立て直す姿を描いた感動作『幸せのちから』は大ヒットを記録し、ウィル・スミスはアカデミー賞とゴールデングローブ賞にノミネートされた。優れた演技派俳優としての地位を確立したウィル・スミスが、再び『幸せのちから』のスタッフと組み、本作『7つの贈り物』では世界に贖罪と希望を問いかける。
謎の男ベン・トーマスを演じるウィル・スミスは、私たちが知っているウィル・スミスではない。心の痛みに耐え切れず、独りで泣いているウィル・スミスだ。物語が進むにつれて、彼の涙の理由と、計画の内容が徐々に明かされていく。そして最後にメ7つの贈り物モの本当の意味と、究極の目的が明かされた時、衝撃と感動の波が、観る者の魂を砕くだろう。
ベンを取り巻く人々にも、演技には定評のある俳優たちが顔を揃え、観る者の予想を完璧に裏切るストーリー展開に、リアリティを与えることに成功した。ベンが選んだ7人の一人で、彼の計画を大きく狂わせ、彼の人生を思わぬ方向へと導くエミリーには、『イーグル・アイ』のロザリオ・ドーソン。やはり候補者の一人で、盲目のピアニストのエズラには、『ノーカントリー』のウディ・ハレルソン。ただ一人計画の内容を知り、その鍵を握るベンの親友ダンには、『父親たちの星条旗』のバリー・ペッパー。ベンの弟には『ワイルド・スピード_2』のマイケル・イーリーが扮している。
2009年2月 あなたなら、受け取れますか__?
PRODUCTION NOTES
『幸せのちから』で大成功を収めたチームが、再結成するに相応しい作品
『幸せのちから』で製作を務めたジェイソン・ブルメンタル、トッド・ブラック、スティーヴ・ティッシュは、グラント・ニーポートが書いた『7つの贈り物』の脚本を読み、今日のハリウッドにおいて際立って重要な、これまで観たこともない作品になると感じた。そして、『幸せのちから』で大成功を収めたチームを再結成するに相応しい作品だと直感した。
ティッシュは、「『幸せのちから』は、素晴らしい題材のおかげで、ウィル・スミスを獲得できた。『7つの贈り物』では、彼がまだ演じたことのないこの役で、新しいエキサイティングな領域に行くチャンスを、彼に与えることができると思った」と語る。
そこで彼らは、オーヴァーブルック・エンタテインメント社をスミスと共同経営するプロデューサーのジェームズ・ラシターの元へ、『7つの贈り物』の脚本を持ち込んだ。ラシターは、こう語る。「主人公は今までにない独創的なキャラクターで、映画では普通は観られないような人物だった。こういうチャンスには滅多に出会えないから、プロデューサーとしてワクワクしたね」
スミスの主演が決まったことで、監督はやはり『幸せのちから』で幸先の良いハリウッドデビューを果たしたイタリア人監督、ガブリエレ・ムッチーノが務めるべきだと意見が一致した。「彼が監督をしてくれるのであれば安心だと最初から思っていた。だから、また一緒に仕事をできることが嬉しかった」とラシターは言う。
観たことのないストーリーに魅了された、監督とウィル・スミス
今までにない映画を作るチャンスに、ムッチーノ監督とスミスは魅力を感じたと言う。「非常にミステリアスなストーリーに惹かれた」と、ムッチーノ監督は語る。「失ったものに捕らわれている男が、思いがけず新しい人生を経験するチャンスを得るというストーリーだ。途方もなく様々な感情に溢れたストーリーで、観る者を挑発し、動揺させ感動させる」
スミスも次のように語る。「脚本のコンセプトに驚いた。ある男が生きる意味を問い直そうとするアイデアにね。今まで観たことのない、とても現代的なストーリーだと思う。ムッチーノが率いる製作チームは、人間の感情に対する深い洞察力を持っている。そこにロザリオ・ドーソンやウディ・ハレルソンのような俳優たちが加わったら、それこそ本当に成功のレシピになると思った」
ミステリーから始まり、愛の物語を経て、全く予想外の結末を迎えるストーリー
スミスは、本作のテーマについてこう語る。「人間はどうやって大きなトラウマを乗り越えるのか。何もかもが悪い方向に向かってしまったら、どうやって生きていけばいいのか。そんな問題に、僕は興味を抱き続けている。この作品に出演することは、人間にとって重要な問題を語るチャンスでもあった。『7つの贈り物』は贖罪のストーリーであると同時に、全く予想外の結末を迎えるストーリーでもあるんだ」
脚本を手がけたニーポートは、「これは贖罪を追求するだけのストーリーではなく、非常に異色なラブストーリーでもある」と語る。「この作品はミステリーとして始まるが、そのミステリーがラブストーリーへの裏口になる。それは主人公のベン・トーマスにとって思いがけないことだったのと同じように、観客にとっても予想外の展開になる。ベンは彼の立てた計画の過程で、想像もしなかった事態に陥る。エミリーに惹かれ、彼女に対して強い感情を抱くようになるんだ。それまでの彼は、自分は社会の中では死んだも同然だと思っていた。だが彼女に会ったことで、すべてが変わる」
製作のブラックも、「今のこの時代に、独創的なラブストーリーを作るというのは、とてもエキサイティングなことだ。この映画を作りたいと、すぐに思ったね」と語る。
今まで演じたことがなく、自分自身と正反対の男に扮したウィル・スミス
スミスは様々な役を演じてきたが、今回の役は彼がこれまで演じてきたものとは全く異なっていた。ベンの人生は、彼が予想もしなかった形で変わる。内面的ではあるが、激しい変化が演技の核心にあったとスミスは言う。「このストーリーで細心の注意を払ったのは、ベンが計画に着手した時点では、実はほとんど自分のことしか考えておらず、エミリーに会って初めて自然な形で自分よりも他人のことを考えるようになっていくという点だった。贖罪への道のりにおけるその小さな曲がり角が、彼のストーリーをパワフルなものにしているんだ」
ベンの矛盾した心理や、感情を完全に押し殺してしまうところに、圧倒されそうになった時もあったとスミスは語る。「暗い思いを抱えたベンは、僕自身と全く正反対の人間だから、撮影の間そうした感情の中で暮らすのはとても難しかった」スミスは何よりも、このストーリーのより大きな視野にインスピレーションを受けたと言う。「ベンとエミリーのラブストーリーは美しいが、それは単に作品の一つの層に過ぎない。僕にとって『7つの贈り物』は、危機に直面した時に出会った男女の物語であるだけでなく、一人の男が人間性を取り戻す物語でもあるんだ」
エミリーというキャラクターにリアリティを持ち込んだロザリオ・ドーソン
エミリー役にロザリオ・ドーソンを提案したのは、ムッチーノ監督だった。「ドーソンは、演技から聡明さが伝わってくる女優だ。ベンがエミリーに救われることに信憑性を持たせるには、その聡明さが必要だと思った」とムッチーノ監督は言う。
ドーソンは、この役を得るために懸命に努力した。「今まで読んだ中で最高の脚本でした。読んだ途端、このキャラクターが好きだ、この作品に参加したいと思いました。登場人物たちの信憑性に感動しました」セットでは、チャレンジが待ち受けていた。「できる限り真実味を持たせるように慎重に演じました。この作品が目指しているものは、とてもさりげないけれどパワフルなものです。それを実現するための鍵は、登場人物たちのリアリティを観客に信じてもらうことです」
エミリーを演じる上でのもう一つのチャレンジは、心臓病を患っている彼女の動き方や息遣いだったとドーソンは語る。「彼女のような病状なら、常に息切れしている状態です。彼女はいつも水の中を苦労して歩いているようなもので、その感じを出したかった。彼女の強い意志を見せると同時に、生きていることがどんなに辛いことかということも見せられるように」
スミスと同じくドーソンも、エミリーとベンのラブストーリーは、より大きなテーマの一部だと考えている。「『7つの贈り物』は、様々な愛を描いた作品だと思います。得たいと願う愛、受け入れなければならない愛、自分への愛、見知らぬ他人への愛、そして何よりも人生そのものに対する愛です」
今までにない、静かで受身の役を演じた、ウディ・ハレルソン
ベンの計画にとって欠くことのできない7人のうちの一人である、盲目のコンサート・ピアニスト、エズラ・ターナーを演じるのは、ウディ・ハレルソンである。ムッチーノ監督は、求めていた資質をすべて持ち合わせていたのがハレルソンだったと語る。「目が見えないために何もできないと感じているエズラを演じる上で、必要不可欠な優しさがハレルソンにはあった。一方でエズラには、いつでも人生に飛び込んでいこうという前向きな気持ちもあり、ハレルソンはそれを見事に見せてくれた」
ハレルソンは、この小さいながらも重要な役のために、2種類のトレーニングに取り組んだ。一つは数人のピアノ教師からレッスンを受けたこと、そしてもう一つは、盲人福祉協会の協力のもと、目の見えない人の動きをできる限り正確に経験することだった。
エズラの役作り、および映画の最後の瞬間まで全貌が見えないエズラとベンとの関係を作り上げる上で、ムッチーノ監督と協力し合ったことが楽しかったとハレルソンは言う。「彼は非常に才能のあるフィルムメーカーだ。いつでも思っていることをストレートに正確に話してくれる。どうすればより良いシーンになるか、どうすればキャラクターがもっと出てくるかを、なぜか彼はいつもわかっているんだ」
ベンのミステリアスな精神世界を表現した、映像と美術
『7つの贈り物』の映像は、緊迫感のある美しさに溢れている。「僕は様式化された映像にしたかった。ベンは言わば泡の中に住んでいて、他の人とは違った形で世界を見ている。彼の周りの世界はとても美しいけれど、彼自身はそこから孤立していると感じている。美しい世界を味わっている人たちを眺めてはいるが、彼自身はそれを味わうことができない。エミリーと出会うまではね」とムッチーノ監督は語る。
作品にふさわしい映像を見つけるためにムッチーノ監督が起用したのは、フランス人撮影監督フィリップ・ル・スールだ。「コマーシャルで彼と仕事をしたことがあって、その時信じられないくらい才能のある人だと思った」とムッチーノ監督は言う。「彼と一緒に、有名な絵画を参考に使った。彼ならこの映画をすべて絵に描けるのではないかと思ったくらいだ。彼はとても殺風景なところから始めて、それを徐々に光と色に溢れた世界に変えていった」
美術監督J・マイケル・リーヴァの仕事にも同じような変化が見られる。「最初のうちは、すべてのデザインがベンの世界観に染まっている。だから暗い色彩を使い、セット上のディテールも地味な色合いになった。それが後に豊かな赤紫色になるんだ。ベンがエミリーと出会った後は、暗く味気なかったものが、どんどんカラフルになっていく」と、リーヴァは語る。
2009年2月9日(月)、六本木にて『7つの贈り物』の記者会見が行われ、主演のウィル・スミス、ロザリオ・ドーソン、ガブリエレ・ムッチーノ監督が登壇した。その会見はさながらウィル・スミス劇場であった。