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Che Part2: Guerrilla
2008/スペイン・フランス・アメリカ/ギャガ・コミュニケーションズ=日活/133分
出演:ベニチオ・デル・トロ カルロス・バルデム デミアン・ビチル ヨアキム・デ・アルメイダ エルビラ・ミンゲス フランカ・ポテンテ カタリーナ・サンディノ・モレノ ロドリゴ・サントロ ルー・ダイヤモンド・フィリップス マット・デイモン 
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
http://che.gyao.jp/

偏差値:61.8 レビューを書く 解説

革命的情熱の果てに [91点] [参考:1]

この作品は「チェ 28歳の革命」の続編にあたります。続編とはいえ、2作で1つの構成となっているため前作「28歳の革命」を観ることを強く勧めます。
※:本作「39歳別れの手紙」、前作「28歳の革命」の表記で書いていきます。

前作では国連での演説とキューバ革命を織り交ぜながら、ストーリーを展開させていきましたが、本作ではボリビアでのゲリラ活動を丁寧になぞっていきます。このことで自然にゲバラの絶望的な革命活動に引き込まれていき、ボリビアのジャングルへと導かれます。

極度の疲労と餓えの中、果てしなく続くゲリラ戦。ジャングルの中、窒息しそうなほどの息苦しさを感じた時、映画を観ながらにしてゲバラとの一体感を覚えることでしょう。

ゲバラは圧政に苦しむ民のため、2度も己の命を捧げ革命家として生きました。彼は苦痛からの脱却のためだけの反乱ではないことを仲間に何度も教えます。なんのために戦うのかと(このあたりは前作でじっくり描かれていますが)。

最も印象的だったのは、「あなたは神を信じるか?」の質問に「私は人間を信じている」と答えたゲバラ。自分のためではない、人間への愛にはただ圧倒されるだけでした。

前作では未来のゲバラ像を示し、力強く革命を説いた構成から一転、本作では絶望的な革命に観客をシンクロさせていくあたりはスティーブン・ソダーバーグ監督の巧さが光ります(演出面の違いを比較するとオモシロイ)。そしてなにより、ベニチオ・デル・トロの強烈な存在感あっての映画といえるでしょう。

1本観るだけで非常に体力を消耗しますが、ゲバラの情熱の果てに見た"光"を彼と共に幻視するのも楽しいですよ。

関連作品:「チェ 28歳の革命」
     「モーターサイクル・ダイアリーズ」
連想作品:「シンドラーのリスト」
     「ガンジー」

2009/02/02 23:22

Good Luck

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