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フランク・キャプラは僕が最も好きな映画監督です。キャプラ映画は、ストーリー、俳優の演技、キャメラのどれもが完璧だと思います。僕はまず最初にキャプラ映画で、映画の技術を学びました。もちろん今でもキャプラ映画から教えられることは多いです。 まず第一に、本作は舞台劇の映画化作品です。キャプラ映画のほとんどが紛れもなく「映画」らしい作品であるのに対して、本作は比較的舞台劇の要素が強く、屋敷の一室だけでストーリーを進めていきます。従来のキャプラ映画にあるような、町の広がりを感じさせず、空間が閉ざされた感じです。 第二にキャスティングです。キャプラ映画で主演をする俳優は、ジミー・スチュアートやゲーリー・クーパーといった真っ正面から正義を貫くような好青年が多いのに対して、本作では彼らとはまるで性格が違うケーリー・グラントが起用されています。グラントはジョークを言わせて右に出るものはいない役者ですが、本作は独壇場ともいえる彼のオトボケぶりが大きな見せ場になっています。ゾクッとしたときに「おぉぅ!」と叫び声をあげる演技がたまりません。とにかくこれはグラントの演技を楽しむための作品といいたくなるほど、グラントばかりを褒めたくなります。そのせいで、彼が出てこないシーンが何か物足りず、そこが唯一残念なところになってしまいました。 もうひとつ注目すべきところは、本作が「ブラック・コメディ」ということです。健全たるコメディを撮り続けたキャプラが、今回はうってかわって悪ふざけしています。スリラー映画そのものを茶番化して見せた感じです。他のキャプラ映画にあるアメリカンドリームはそこにはありません。妙ちきりんなギャグが作品を占めています。ボリス・カーロフのそっくりさんや、おろおろしたギョロ目の医者など、強烈なキャラクターを登場させて、黒くて不気味なムードを醸し出して、同時にセリフで笑わせるあたりが、本作のおかしさなのです。
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